北極星のみつけかた|yuzubaby

自称宇宙人のゆとり世代が書く雑記ブログです。

北極星のみつけかた

会社を辞めた直後にコロナに感染!で感じたあれこれ

2022年10月28日17時57分、コロナウイルス陽性の通知が届きました。

 

2020年初頭にコロナが感染しだしてから今まで1度もコロナにかかったことがなかったので、ショックでした(無症状だっただけで以前もなっていたのかもしれませんが...)。

 

この記事では、コロナになった際に感じたあれこれを言葉として残したいと思います。

残したからなんなんだって話なんですが、残したいと思います(頑固)。

 

 

 

①-a 健康保険証がない中でコロナになるという不安

 

このたび会社を辞めて健康保険証を失った(返却した)後にコロナになる中で、そして自宅の病床で悶々としている中で、ふと思ったことがあります。

 

社会的弱者とは、社会の制度的に弱い立場にいる者のこと

 

なのかなあと。

 

少し時は遡りますが、大学時代、ゼミの先生が「社会的弱者という言葉は使うな」と言っていました。

 

先生はいつも、「なぜ」を言わない。

ただ結論だけ突きつける。

だから生徒は混乱するし、生徒から反感を買うこともある。

 

わたしが思うに、先生は「なぜ」の部分を生徒に託したんだと思います。

生徒に答えを考えてほしかったから。

 

「社会的弱者という言葉を使うな」と言われたとき、自分もすんなりは受け入れられませんでした(受け入れない/受け入れられないとしても、その言葉を受け止めはしました。受け入れる/入れないに関わらず、一旦受け止めて心のタンスの片隅にドラえもんのように居座ってもらうのは大事かもしれないですね...!)。

 

そして2年前のブログ記事で、自分なりの答えを書きました。

とっても簡単にまとめると、「社会的弱者という言葉を使うなと先生が言った意図は、社会的弱者という言葉を使ってる時点で相手のことを自分より弱いと決めつけている。そんな偏見は相手に失礼だ。相手を見下しているようなもんだ」って感じのことを書きました。

 

弱者がいるからには強者がいる。

社会的弱者という言葉によって、「社会には弱者と強者がいる、社会にはパワーバランスがある」という無意識の差別を生んでいるから、先生は「社会的弱者という言葉は使うな」と言ったのかなあ、と勝手に解釈していました。

 

...とこの話をとある人に話したら、「社会的弱者っていう言葉があるから、社会的弱者と呼ばれる人達に世間の注意を引くことができるとも言えるよね」と言っていました。

確かにそれもそう。

 

言葉があることで、くっきりはっきりと認知できるようにある。

どう言葉にしたらいいかわからないことがあるように、言葉がないとわからないこともある。

 

社会的弱者がいなくなったら、そのときは社会的弱者という言葉がなくなればいい。

でも、社会的弱者とされる人がいる限り、社会的弱者という言葉は残しておいた方が、その人達への関心やサポートは向けられやすいのかもしれない。

 

うむ... うむ... うーむ...

 

といった感じで2年前は色々考えていました。

 

以前は、「社会的弱者」という言葉は、なんだか「社会において弱い身分の人、すなわち社会というカーストの底辺にいる人」というようなニュアンスを醸し出していて、社会的弱者がいるということは社会的強者がいて、つまり社会的弱者という言葉によって社会に二項対立が生まれている気がしていました。

 

でも、社会的弱者って、その人が弱いとかそういう意味じゃなくて、健康保険とか助成金制度とか、一般市民が受けられる社会の制度なり待遇なりをなんらかの事情によって受けられない人のことを指すのかもなあ。

 

なんでこんなことを思ったかというと、自分のプライドが関係しているのかもしれません。

 

というのも、今のわたしは自己認識上では「社会的弱者」なので、自分のことを弱い人間だとは思いたくありません。

でも、現に健康保険証がなく、病院に診療に行けば100%自己負担(コロナ陽性と判断された場合は治療費が原則国負担らしいのですが、かかりつけ医ではなく初診の場合は病院に別途初診料を払わなければいけない。そしてコロナじゃない場合は、今まで健康保険でまかなっていた分はすべて自己負担)の状況の中で、「ああ、なんか自分社会的弱者なのかもなあ」と思わずにはいられませんでした。

 

※補足※

健康保険証は、「社会保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」の3種類に分けられます。

正社員で会社勤めの場合は、原則「社会保険」に加入し、健康保険料は会社と自分が折半する形となります。

しかし、会社を辞めた場合、健康保険証を返却して、国民健康保険に切り替える必要があります(そして健康保険料は全額自己負担になります)。

本来であれば会社を辞めてから14日以内に社会保険から国民健康保険に切り替える必要があるのですが、わたしの場合、諸々の事情で社会保険からは脱退した(健康保険証は返却した)ものの、まだ国民健康保険に切り替えられていないタイミングでコロナにかかりました。

ということで、今回のような「健康保険証がない状態でコロナに苦しむ」という稀有な経験をしました。

(前述したように、かかりつけ医ではなく初診の場合は病院に別途初診料を払わなければいけないこともあるそうですが、コロナ陽性と判断された場合は治療費が原則国負担らしいです。重症化して命を落としてからでは遅いので、コロナの症状が重くて辛い場合は、健康保険証がなくても病院の受診をおすすめします)

 

①-b 健康保険証がない難民申請者はどんな気持ちだろう

 

会社を辞めて健康保険証を返却した直後にコロナを患う。

コロナで苦しむ中、病床で思い出したことは、難民申請者の存在。

 

日本は、難民認定率の低さで有名です。

2021年に日本で難民申請した人は2,413人、そのうち難民として認定されたのは74人。

過去に比べると増加はしたものの、認定率は1%未満と、非常に低い水準です。

 

難民に認定されないと、日本で働くことも健康保険証をもらうこともできません

つまり、日本に難民として来たのに難民認定してもらえてない人は、自国への強制送還は免れたとしても、日本で病気になったときは医療費の100%を自己負担しなければならないのです(日本で働くことが許可されていないのに医療費を全額自己負担しなければならないとなると、ケガや病気を患っても我慢して病院に行かない事態が起き、最悪の場合は死に至ることもあります)。

 

今まで「難民申請者は働くことも健康保険を受けることもできない」ということを事実としてわかっていたつもりではありましたが、「健康保険証がない状態でコロナに苦しむ」という実体験をしたことで、難民申請者の方々が直面している課題や不安の0.000001%を垣間見た気がしました。

 

日本の難民認定率が低い理由は、深堀りしてもしきれないかもしれません。

でも、治安への懸念とか見知らぬ人を受け入れることに対する未知への不安だけじゃなくて、自分たちが納めている税金が難民申請者のために使われるなんて嫌だみたいな心理作用も働いているのだとしたら、「日本人が震災で大変だったときいろんな国の人が助けてくれたんだから、自分たちも恩返しと恩送りしようよ」とも思うし、それでも「日本人でも困っている人はたくさんいるんだ!税金はまずは/すべて日本人のために使え」みたいな人がいるのなら、税金以外の方法で難民申請者のための社会的サポートを設けるなり、なにかしらの工夫がもっと進んだらいいな、と思いました。

 

※補足※

ネットで「難民 医療費サポート」と検索したら、難民支援協会をはじめ、NGO団体による各種サポートの記事が出てきました。

 

② たらい回しと門前払いによる諦めモード

 

コロナの症状として、連日ひどくなっていく喉の痛みと止まらぬ咳...

 

コロナの自宅療養者には、「自宅療養サポートセンター/うちさぽ」という電話サポートが設けられているとのことで、夜中に「救急車を呼ぶほどではないけれど、呼びたいぐらい咳がひどい/肺がしんどい」ってなったときに、こちらのサポートに電話しました。

咳をラクにするためのコツとかがあれば教えてほしいと思ったんですよね。

 

あと、翌朝「薬がほしいからコロナ陽性者でも診療してくれる病院がないか知りたい」という電話もしました(コロナ感染拡大防止のために、コロナ陽性者の診療は受け付けていない病院が多いです)。

 

しかし、管轄が違うからとか、街のPCR検査センターで陽性だと発覚した人(当院でコロナ陽性だと診断されていない人)の診療は行なっていないとか、結局電話したところでわたしがほしい答えは得られませんでした。

 

喉が痛くて咳がひどくて、かすれ声でなんとか話すのもやっと...

そして何度も電話してやっと通じた...!

というときに、そのような「たらい回し対応」や「門前払い対応」をされると、なんとも心がめげるものです。

 

そこで感じたことは、孤独とやるせなさと諦めです。

 

ただでさえコロナで辛いので、たらい回いや門前払いをされたところで「何くそこの野郎!」と思うというよりは、「ああ、誰も助けてくれないんだ... もういいや...」と諦めモードに突入してしまいました。

 

結果、無事にコロナを克服できたのでよかったのですが、中には症状が悪化して命を落としてしまう人がいる中で、このようなたらい回しや門前払いはどうにかして改善したいと思いました。

 

さらに思い浮かんだことは...

日本人でもたらい回しにされたら嫌なのに、外国人だったら?

 

2021年の夏から2022年の夏まで、NPO法人アクセプト・インターナショナルにて在日外国人向けの相談窓口スタッフをしており、そのときにコロナに感染した方からの相談や、コロナで生活が困窮しているから経済支援を受けたいといった趣旨の相談を受けていました。

 

1人が大量のお問合せを受けていると、どうしても「向き合う」というより「さばく」スタイルになってしまいがちで、1人1人の状況状態に寄り添うという姿勢を見失ってしまいがち。

 

しかし、アクセプト・インターナショナルで相談対応をしている中で、「色々なところに問合せたけどたらい回しにされたから相談したい」といった方々がたくさんいました。

 

アクセプト・インターナショナルでは、相談者にお金を貸す/付与する等の金銭的サポートは行なっておらず、あくまでも国の助成金制度などの情報提供をメインで行なっていました。

自分の組織の管轄外の相談については、より適切な組織につなぐことも重要です。

しかし、「たらい回しにされた」と感じさせないための工夫も必要な気がします。

↑ これは自戒でもあります。ボランティアとして働く中で、自分としては「より適切な相談先につないだ」つもりでも、相手には「たらい回しにされた」と感じさせてしまっていたかもしれません。

 

だから、コロナの各種サポートをしている医療従事者の方やスタッフの方は、本当に大変だと思うし、1人1人に非はないと思います。

ただ、相手がすごく辛い状況にいることに対して寄り添う姿勢というのは、やはり大切にしたいものだな、と思います。

 

さて... 

そんな中で、次の4パターンについて考えていました。

① 相手に寄り添う姿勢があり、相手の問題を解決できる人(優しい名医)

② 相手に寄り添う姿勢がないが、相手の問題を解決できる人(冷たい名医)

③ 相手に寄り添う姿勢はあるが、相手の問題を解決できない人(優しい無能者)

④ 相手に寄り添う姿勢がなく、相手の問題を解決できない人(冷たい無能者)

 

上記のうち、自分は①でありたいな、と思いました。

※今のところわたしは医師免許があるわけでもなんでもないので③か④ですが...

※ちなみに病気を治すには医師である必要がありますが、病気以外の問題(たとえば貧困)を治すには医師である必要はありません。ということで、当たり前のことながら誰のどんな問題を解決したいかによって、必要とされる能力も異なるわけですが、やっぱり緊急の問題に向き合う仕事に就いている方(医師とか消防隊員とか)は心から尊敬するし憧れます。

 

③ 情報連携が全然できてない... 伝言ゲームを防ぐためには仕方ない?

 

身内のコロナの症状が悪化して、救急車を呼ぶべきか迷ったときの相談先である#7119に電話したのですが、そのときに率直に感じたことは「本当に救急だったら死にそう」ということでした。

 

というのも、今回救急車を呼ぶまでのフローとしては以下の通り。↓

1. #7119に電話して、状況を伝える

2. #119につないでもらい、状況を伝える

3. 救急車で向かってくれている救急隊員から電話をもらい、状況を伝える

 

で、1~3の各ステップで、ほぼ同じ内容(状況)を繰り返し伝えました。

 

各ステップの間で、救急車を呼んだ本人を介さずに伝言がなされたら、伝言ゲームになって間違った情報が伝わってしまう可能性もあります。

 

だからなのか、純粋に伝言を伝えているヒマがあったらつないだ方が早いということなのかはわかりませんが、各ステップで同じ内容を繰り返し伝える(計3回同じことを伝える)ことに、少しムダを感じました。

テック系のスタートアップで救急車用のDX的なSaaS的なモノを考えていた時期もあったのですが、すでに大手が参入しておおむね効率化されているだろうと思っていたら、意外とそうでもないのかもしれない。

 

※補足※

そもそも意識を失っていたり痙攣していたり、明らかに生命の危機=救急であるという場合には、すぐ#119に連絡すべきだし、#119に連絡していたら今回感じた「情報連携不足」もあまり感じなかったかもしれません。

緊急だと感じたときは、迷わず#119に連絡することも大事ですね...!

 

※何が緊急で何が緊急じゃないかの判断は素人(しろうと)には難しいので、最低限の医療リテラシーは身に着けたいなと思いました(前にEmergency First Responseという2日間ぐらいのコースを受講して、Emergency First Responderとしての資格を取得したことがあります。この資格は確か2年間で切れてしまうので、2年ごとに再受講して更新する必要があります。ソウルの梨泰院での痛ましい事件でも心臓マッサージの重要性が再認識されたように、身の回りの緊急時に誰かを救えるように、医療リテラシーは身に着けたいなと思った過去1~2週間でした)。

 

さいごに

わたしが以前ボランティアしていたアクセプト・インターナショナルでは、在日外国人向けに相談窓口を設けています(日本に一定規模のコミュニティがある方々、たとえば中国人の方々に対して、在日ムスリムの数は少なく、したがって日本で頼れる情報源が少ないのが現状です。そこで、アクセプト・インターナショナルでは、特にムスリムにフレンドリーな相談窓口であるために、英語のほかにもベンガル語インドネシア語ウルドゥー語に対応しています。お友達で困っている在日外国人の方、ムスリムの方がいらっしゃったら、ぜひ以下よりコンタクトを取るよう紹介してみてください。

アクセプト・インターナショナル 在日外国人向け相談窓口

https://mufcas.accept-int.org/

 

改めて、医療従事者の方々をはじめ、コロナ感染者のサポート業務に従事している方々には、心から感謝しています。

この記事で書いた内容で、少しでも不快に思われる方がいたら、申し訳ございません。

ただ、この記事は「自分がコロナになったときに感じたこと」の備忘録として書いたことなので、あまり気にせず、もしそれでも気になる方は少しでも何かしらの考えるきっかけやヒントになれたら幸いです。

 

みなさん、健康にはどうかお気をつけて...!

それでは、おやすみなさい!