北極星のみつけかた|yuzubaby

自称宇宙人のゆとり世代が書く雑記ブログです。

北極星のみつけかた

『東京クルド』をみて改めて振り返る、日本に住むクルド人

みなさんは、「クルド人」と呼ばれる人々について聞いたことはありますか?

 

実は、日本に1,000人以上住むクルド人

わたしが初めてクルド人に会ったのは、大学1年生の夏でした。

今年の夏に緊急公開された映画『東京クルド』を観たことで、クルド人と初めて出会った日のこと、それから今まで考えてきたことについて振り返ってみることにしました。

 

この記事では、個人の原体験を交えつつ、日本に住むクルド人についてお話しします。

クルド人」「難民」といったキーワードに少しでも興味をもってもらえるきっかけとなれば幸いです。

 

 

I. 国をもたない世界最大の民族『クルド人』とは?

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(↑ 有名なクルド人アーティストの演奏会 in 川口)

 

クルド人とは、国をもたない世界最大の民族と呼ばれています。

人口は約2,500~3,000万人いるといわれ、中東の3大先住民族の1つです。

主にトルコ、シリア、イラク、イランに住んでいて、居住地を総称して『クルディスタン』と呼んでいます(規模は日本全土の約1.5倍)。

 

日本人には日本という国があり、カナダ人にはカナダという国がありますが、クルド人にはクルディスタンという国はありません。

 

でも、一体なぜ?

 

クルド人は、何度も独立を試みては、失敗してきました。

国をもたない理由は過去にさかのぼりますが、複雑な国際政治が背景にあります。

 

そこで、下記にクルド人の歴史について簡潔にまとめたスライド(大学時代に開いた勉強会用に作ったもの)を載せるので、よかったらぜひ見てみてください!

※「もうすでに知ってるよ」「難しい歴史については一旦飛ばしたいよ」という方は、当記事の次章「II. クルド人との出会いは、大学1年生の夏だった」をご覧ください。

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※上記は書籍と信頼できるインターネットの記事をまとめたものです。

事実をもとに中立的立場でまとめたスライドですが、もしご意見などがあれば、お気軽に連絡いただけると嬉しいです。

 

さてさて...

教科書的にクルド人の歴史をなぞるのはここまでにして。

わたしがクルド人と出会ってから感じたこと、考えたことの原体験を綴ります。

 

II. クルド人との出会いは、大学1年生の夏だった

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わたしが初めてクルド人と出会ったのは、大学1年生のときでした。

 

難民フットサル大会* と呼ばれる年に1度のスポーツイベントにボランティアとして参加したとき、担当チームのスタッフとしてたまたまアサインされたのが、クルド人チームでした。

 

(*難民フットサル大会とは、世界難民の日(6月20日)を記念して2004年にJICA職員により設立されたスポーツイベントで、日本に住む難民同士が集まってフットサルを通じた交流を行なうためのイベント)

 

当時からざっくり『平和』『貧困解決』みたいなキーワードに関心をもっていたわたしは、大学1年生の春より、早稲田大学で『平和学入門』という授業を受講していました。

 

世界から貧困がなくならない最大の理由は、たびたび繰り返される紛争にある。

紛争により、世界では難民がたくさん存在する。

 

授業でこの言葉を知ってから、『難民』というキーワードを潜在的に意識するようになったのだと思います。

なので、大学のキャンパスを歩いていたときに、早稲田ボランティアセンター(WAVOC)公認プロジェクトとして『難民フットサル大会』のボランティア募集ポスターを見たとき、即申し込みました。

 

大会当日ー

民族別にチーム分けが行なわれ、わたしはクルド人チームの担当に。

そして初めて難民と呼ばれる人々に会いました。

(正確に言うと、今まで気づかなっただけで、知らないうちに難民と呼ばれる方々と街ですれ違ったことはあるのだと思います)

 

試合前にクルド人の方々と顔合わせをしたとき、なんて笑顔が優しくてフレンドリーな人たちなんだろうと思いました。

日本語で会話もできたので、意思疎通も問題なくできて。

人は初対面で「この人と友達になれそうかどうか」を無意識のうちに判断するものだと思いますが、その日に出会ったクルド人の方々は、友達になりたいと思う方ばかりでした。

わたしよりも歳上の男性が多かったので、友達というより、親戚のおじさんに久々に会ったみたいな親近感を覚えました。

 

「難民のイメージは?」

と聞かれたところで、先入観さえもうまく答えられないぐらいに難民についてあまり知らなかったのですが、クルド人の方々の振る舞いも言動も、難民というより、日本に住む外国人と形容する方がふさわしいぐらいでした。

 

そして...

クルド人 vs ビルマ人の試合スターティン!

 

結果は...

ビルマ人の勝ち。

 

そして、とあるできことが起こりました。

 

日本人の審判が、ビルマ人をひいきした

 

本当かどうかは結局わかりませんでしたが、今まで穏やかだったクルド人の方々が、日本人の審判が不公平な判断を下したと怒るできことがありました。

 

わたしが知っているクルド人の方々は心優しくていい人ばかりなので、あまり先入観を持たずにまずは知り合ってほしい、友達になってほしいという想いが強いので、当時のできごとについてここでは詳しくは書きません。

 

ただ、クルド人チームの様子は、試合前と試合後でまったく違って。

当時19歳だった自分には、一体なにが起きたのか理解しきれませんでした。

 

ただ、クルド人チームの担当スタッフを一緒にやっていた女性が教えてくれたおかげで、不当な審判で試合に負けたことで怒っているだけではないと気づきました。

日本では、ビルマ人は比較的いい待遇を受けてる。難民認定されている人もいる。一方で、今まで日本で難民認定されたクルド人は0人。同じ難民でも、民族によって受けてる待遇が違う。審判がビルマ人をひいきしたことだけに怒ってるんじゃなくて、日頃からのストレスが今表面化してるだけなんだよね。

 

III. カナダで紛争解決学を学ぶ中で感じた自分の無力さと絶望感

今まで「平和」「貧困解決」というキーワードに関心をもっていたものの、具体的にどのように携わりたいかはイメージできていませんでした。

 

そこで、大学2年~3年のカナダ留学@クイーンズ大学では、紛争解決学とカナダの民族政策について学ぶことに。

 

留学当時は、ちょうどイスラム国(ISIS)が中東でテロを繰り返していた時期。

自分が授業を受けているこの瞬間に、世界ではテロや紛争が起きているのに、机上の空論を学ぶことしかできない自分。

もどかしさしかありませんでした。

 

もしISISがいなかったら、今頃は平和構築・紛争解決の分野で働いていたのかもしれません。ただ、ISISに対して世界中が手こずっているのをニュースで見る中で、自分なんかに一体なにができるのだろう... と悶々としてしまいました。

 

今から思うと、テロや紛争そのものを解決することはできなくても、予防したり被害を最小限に食い止めたり、何かしらできることはあると思うのですが(実際に大学の先輩がアクセプト・インターナショナルというNPOを立ち上げて、テロリスト予備軍であるソマリアのギャングを社会復帰させるという活動を行なっています)、当時の自分は挑戦する前から怖気づいていました。

 

IV. 自分に何ができるのか?

カナダから帰国したのは大学3年生の夏。

就活戦争が始まろうとしていました。

 

そんな中、模擬国連というサークルの先輩が、平和学について学んで対話することに特化した学生団体『JSAPCS(日本学生平和学プラットフォーム)』を立ち上げるとのことで、団体に入らないかと誘ってくれました。

 

そこで企画したのが、在日クルド人による勉強会+交流会。

難民フットサル大会で連絡先を交換したクルド人の方に連絡して、早稲田大学クルド人についての勉強会をやってもらえないか打診しました。

そしてOKをもらうことができ...無事開催が実現!

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(↑ 講師として招いたクルド人3名の写真)

 

勉強会+交流会には学生から社会人を含めて約30名ほど集まってもらうことができました。

『WELgee』という日本の難民支援NPOを立ち上げた代表の方も勉強会+交流会に参加してくださいました(とても尊敬していて応援している団体なので、日本に住む難民についてもっと知りたい方は、ぜひネットで検索してみてください!)。

 

勉強会+交流会をやったからといって何かが劇的に変わるわけではないにせよ、

1回でも接点があったなら...

あわよくば、友達になったなら...

 

「難民」「クルド人」といったキーワードに対する反応が、少しでもあたたかいものになるのではないかな、と思います。

 

ちなみに、「難民」「紛争解決」というキーワードに少しでも興味をもってもらえたとしたら、そしてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ尊敬する先輩2人が立ちあげた下記の2団体をチェックしてみてください!

※わたし自身、マンスリーサポーターとして2団体を応援しています ↓

■ アクセプト・インターナショナル:https://accept-int.org/(紛争解決)

■ WELgee:https://www.welgee.jp/(難民支援)

 

最後は、わたしの好きな言葉で締めくくりたいと思います。

 When given a choice between being right or being kind, choose kind.

(もし正しくあるか優しくあるかを選べるなら、優しくあることを選ぼうぜ)

 

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」