みなさんは、誰かに相談されたことはありますか?
気の利いたアドバイスを送ることができず、もやもやしたことはありますか?
誰かに相談されたとき、相手の心をラクにしてあげたいと思いますよね。
自分のアドバイスが誰かの役に立ったら、もちろん嬉しいですよね。
でも、相談しているときの心の状態によっては、アドバイスが返って逆効果なこともある。
今日の記事では、誰かに相談されたときに必ず実践したい「あること」についてお話します。
この記事をきっかけに、相談される人にとっても相談する人にとっても、「相談」という営みによってハッピーになることを願って...
I. 相談相手が求めているものって、本当にアドバイス?
元々コンサルティング業界にいたわたしにとって、誰かが誰かにアドバイスを送る光景は山ほど見てきました。
コンサルタントという職業上、「課題をもっている人に対してアドバイスをする」という行為に慣れているからか、仕事でもプライベートでも、誰かに相談事をされたときに誰かに気の利いたアドバイスができなかった際に「バリューを発揮できなかった」と落ち込む人を見てきました。
ただ、「気の利いたアドバイスができなかった」と悔やむ人を見て、もやもやすることがありました。
当時は、そのもやもやの正体が何なのかわかりませんでした。
でも、最近になってもやもやの正体がわかりました。
それは...
相談相手が本当に求めていたのは、アドバイスではない。
「は?どゆこと?」
と思われた方。
そうですよね。
思いますよね。
詳しくお話させてください。
II. アドバイスを与える行為=「今のままじゃいけない」という暗示
もちろん、アドバイスがほしくて相談するときもあると思います。
だから、そんなときはどんどん自分なりのアドバイスを送ればいいと思います。
ただ、今日の記事でお話ししたいのは、
「アドバイスではなく〇〇がほしくて相談するとき」に、
相談された側はどうすればいいのかということ。
〇〇とは...
アクセプタンス!!!
III. 「それでいいんだよ。むしろそれがいいんだよ」
アクセプタンス、つまりAcceptance、つまり受容。
相談した相手が本当に求めていたのは、「それじゃダメだよ」ではなく、「それでいいんだよ。むしろそれがいいんだよ」かもしれない。
だって、「それじゃダメだよ」の次には必ず「だからこうした方がいいよ」というアドバイスが待っているから。
そして、時々わたしたちの心は、「だからこうした方がいいよ」と心あるお説教を素直に聞けるほど余裕がないから。
アドバイスをくれる誰かがいる、というのはありがたいことだし、相手も自分のことを思ってアドバイスしてくれているはず。
ただ、心が弱っているときというのは、なんでもネガティブに捉えてしまいがち。
そんなときに誰かからアドバイスをもらうことは、自分はやっぱり至らないんだ、やっぱり自分のせいなんだ、だから相手は必死に自分をなんとかしようとアドバイスをくれてるんだ、ああ、自分は不甲斐ないんだ...
そんなネガティブスパイラルに陥ってしまうこともあると思います。
場合によっては、アドバイスを与えるということは、「相手をなんとかしなきゃ」と思っている心の表れであり、裏を返せば「今のままじゃいけない」と相手に言っているようなもの。
もちろん相談された側としてはそんなつもりは微塵もないかもしれないし、アドバイスを与えることで相手がすごく救われることもある。
アドバイスを与えることがよろしくないと言っているわけではなく、あくまでも、アドバイスを与えることで、相手にプレッシャーを与えてしまうこともある、ということ。
だから気の利いたアドバイスを送ろうと焦る必要はないし、むしろアドバイスを送らずに、相手の辛い状況を聞いた上で相手を心の中でハグしてあげる方がよっぽどお互いにとってハッピーなこともある。
相談相手が求めているのはアドバイスなのかアクセプタンスなのかを見極めることは難しいかもしれませんが、アドバイスを送るにしても、まずはアクセプタンスのステップを踏むことが大切なのかもしれません。
「相談内容によっては、相手を受け入れることなんて無理だよ!」
と思う人もいるかもしれません。
たとえば、相手が何か倫理的によろしくなさげなことをして、そのことに対して自分に相談をしてきた場合。
確かに相手を受け入れるのは難しそうですよね。
でも、大丈夫です!()
アクセプタンスとは、相手に同調すること、とはちょっと違う気がします。
アクセプタンスとは、相談してきた相手のことを肯定するでも否定するでもなく、とにかく相手の状況に心の耳を澄ませること。そして相手の状況を想像し、想いを馳せること。
というのも、相談と審判は違います。
だから、誰かに相談されたときは、相手の行動を批判するというより、まずは相手の状況を理解して、一旦受け入れること。
誰かに受け入れられることで、相手も冷静さを取り戻し、どうすべきかいいかを冷静に考える余裕が生まれるから。
<まとめ:相談されたときに実践したいこと!>
L LISTEN
L ACCEPT
L ADVISE(相手に心の余裕があれば)
ちなみに...
今日の記事は、映画『コード・ブルー』の主人公である藍沢先生(主演:山下智久さん)に刺激を受けています。
というのも、映画の中では、大切な人を傷つけてしまったと自らを責め後悔する人々が出てくるのですが... そんなとき、藍沢先生はその人たちを責めることは一切しないんです。
むしろ、その人たちのことを逆に認めてあげるような言葉をかけるんです。
たとえば、DVの父親から逃げて児童館で育った青年が登場するシーンでは...
何十年ぶりに再会した父に対して、青年は「惨めに1人で死ねばいい」と心にもないことを言ってしまい... その直後、お父さんは事故で瀕死状態に。
そこで青年は...
「本当に言いたかったのは、惨めに1人で死ねばいいなんて言葉じゃなくて、今は立派に父親になって家庭を養っているということ、アンタ(父)なんかに人生壊されなかったってこと!」
と、瀕死状態の父を見ながら後悔するシーンがあります。
そんなとき、藍沢先生は、「子どもは親を選べない。だから、親に恵まれなかった子どもにできる唯一のことは、逃げることだ。君は勇敢だった」と青年に告げるんです。
<※上記のセリフは一語一句同じわけではないのであしからず...!>
ここでポイントとなるのが...
「そうだったよな!俺勇敢だったよな!」と調子に乗るわけではなく、青年は泣き崩れるんです。
人は、悪いことをしたとわかっていても、誰かに面と向かってそれを言われると、反発したくなるもの。
だけど、誰かが自分を責めるわけではなく、むしろ受け入れてくれたとき、心の中に一筋の希望がうまれ、はじめてちゃんと自分のした行為と向き合おうと思えるようになる。
だから、誰かに相談されたときは、必ずしもアドバイスが必要なわけではない。
場合によっては、「それでいいんだよ。それでよかったんだよ」の言葉の方がよっぽど長い目でみたら相手にとって響き、変わるきっかけとなることもある。
相談されたら、何かアドバイスをしなきゃと必死になる前に、まずはアクセプタンスを心がけてみたいと思います。
現場からは以上です!