Netflixで配信中のアニメ『ブルーピリオド』。
不良だけど根は真面目な主人公が、ひょんなことから日本一倍率が高いといわれる東京藝術大学の絵画科を受験することを決意し奔走する物語です。
この記事では、『ブルーピリオド』の余韻に浸りたい人に向けて、心に残るセリフをまとめてみました。
※ネタバレになる可能性があるので、注意です!
<キャラクター>
矢口八虎 - 主人公。東京藝術大学の油画科を目指す。
鮎川隆二 - 八虎の同級生。美術部員。ユカちゃんの愛称で親しまれている。
大葉先生 - 八虎が通う美術予備校の講師。
桑名マキ - 美術予備校の生徒。八虎と同じクラス。
高橋世田介 - 八虎が美術予備校で知り合った天才少年。
森先輩 - 美術部員。八虎にとって、美術の道を志すきっかけとなった憧れの先輩。
佐伯先生 - 八虎が通う高校の美術部の先生。
恋ケ窪 - 八虎の高校の友達。愛称は恋ちゃん。
参照元:https://blue-period.jp/character/
『ブルーピリオド』に出てくる印象的なセリフたち
第1話
主人公の八虎は、美術部の佐伯先生に「美大って俺、入れると思います?」と聞く。
そのときの佐伯先生のセリフです。
好きなことをする努力家はね、最強なんですよ。
第2話
卒業前にお互いの絵を交換しあうことにした八虎と森先輩。
八虎に自分の絵を渡したときの、森先輩のセリフです。
絵の期限って知ってる?諸説あるけどその1つが祈りなの。だから私は、自分の描いた絵を持つ人がいい方へ行ってくれるよう祈りを込めて描いてるんだ。
美術予備校の講師である大葉先生は、今のままでは藝大合格はキツいと八虎に告げる。
そのときの大葉先生のセリフです。
矢口の絵はただ目の前のものを描いてるだけ。
でも、最も大事なのは、自分の絵を描くこと。
第3話
失恋して号泣する龍二を前に戸惑う八虎。
「女装好きで、男好きで何が悪いの?」と泣く龍二。「好きで何が悪いの?俺の"好き"だけが自分を守ってくれるんじゃないのかな?」と嘆く龍二を見て戸惑う八虎。
そんな八虎が1人になったときのセリフ(独り言)です。
"好き"だけがあいつを守ってくれるのかもしんないけど、同時に"好き"だから傷ついてるんだよな、きっと。
天才少年・世田介君に出会ったときの八虎のセリフです。
たぶん、こいつは天才だ。そして俺はやっぱりただの人だ。特別じゃない。天才にはなれない。やった分しかうまくならない。だったら天才と見分けがつかなくなるまでやればいい!
→励みになる!
第5話
受験を前に「自分の絵には根本的に何かが足りない」と悶々とする八虎。
そんなとき、美術部の佐伯先生が八虎に放ったセリフです。
(佐伯先生)芸術に失敗は存在しないんですよ。
(八虎:俺、よく失敗しますけど)
(佐伯先生)それは予備校の先生の評価が低かったということですか?それとも自分で納得していないから?確かに"受かる" "受からない" "売れる" "売れない"など、世界にはいろんな価値の基準がありますね。でも矢口さんはあの青い絵を描いた時、失敗を考えていましたか?確かにあの絵で藝大に受かるのは難しいでしょうね。でもあの絵はいい絵でしたよ。矢口さん。矢口の言いたいことを教えてください。美術は文字じゃない言語なんですから。"失敗"という概念は一度捨ててみて。そしたら、今まで得た技術、知識、そしてこの絵が、あなたの味方をしてくれますよ。
→脚本を書いていても、"うまく書かなきゃ"というプレッシャーで書くことを楽しめなくなったり、何を書けばいいかわからなくなることがあります。でも、"うまく書く"という概念は捨てて、自分が納得のいくものをとことん突き詰める姿勢が大事なんだろうなあ。
八虎が"構図"ではなく"自分が言いたいこと"を考えて初めて描いた作品。
その作品に対して大葉先生はベタ褒め。そんなときの八虎のセリフです。
俺は勝手に楽しく描けたつもりでいたけど、いい絵なのか?これ。
→楽しく描くことが何より大事!
八虎の絵に低評価をつけた大葉先生の言葉。
焼き回しだもん。"縁"の絵のさ。
→創る者であるかぎり、成功体験にすがって似たようなものを描いてはいけない。
大変だけど、常に新しいものに挑戦しないといけないし、だからこそ面白い!
課題に対して大葉先生から厳しいコメントを受けた後、自宅の部屋で1人落ち込む八虎。そんなとき、八虎のお母さんが「好きなことだから頑張れるんじゃない?」と楽しそうに八虎のことを誰かに電話で話しているのが聞こえる。そんなときの八虎の言葉。
好きなことをやるって、いつでも楽しいって意味じゃないよ
→ほんとそう。
第6話
大葉先生が八虎にかけた言葉。
でもそれに気づけるのは枚数こなした奴だけだよ
→脚本でも、うまく書かなきゃって思うと筆が進まなかったりするけど、枚数をこなすことで見えてくる世界もあるから、考え込みすぎずに枚数をこなすことを大切にしていこうと思えるセリフ。自分のスタイルや作風を確立できるのも、数をこなしていくことでわかってくるはず...!
大葉先生が八虎にかけた言葉 その②。
他の作品を把握するのはいいことだけど、比較しすぎるのは危険なの。
1位の絵ではなく、矢口の最高の絵を目指さなきゃね。
→しびれるう!
受験が近づくにつれて情緒不安定になる先輩を見たときの、八虎の心の声。
1日何時間も蛍光灯の下で密室で正解のない課題を描き続ける孤独。
→わかるう!
八虎と同じ美術予備校に通う桑名。桑名の一家は全員藝大出身ということもあって、それをプレッシャーに感じている桑名。そんな桑名を見て大葉先生が放ったセリフ。
桑名はね、1人でずーっとお姉さんを意識してんのよ。なぜかお姉さんにかなわないと思ってるの。1位をとっても、多分合格してもね。姉じゃないのよ、あの子の本当の敵は。
→本当の敵はいつの世も自分なり。
第7話
受験1週間前ー
八虎に対する大葉先生のセリフ。
真面目さに価値があるのは義務教育までよ。真剣なのはいいことよ。でも苦手を克服するのは、テストの点の取り方ね。それに、いい子でいることを評価してくれるのは、そうだとラクな先生と親だけでしょ?
美大受験で求められるのは対応力。
しかし、八虎には"対応力"が足りていないといったときの大葉先生のセリフ。
(大葉先生)"空気が読める"。これは矢口の武器でもあるから、悪いことというより"悪い癖"と言った方がいいかな。あっそっか。対応力って言うより適切なのがあるわ。矢口に足りてないのは"自分勝手力"よ。
(八虎:対応力と自分勝手力って意味逆じゃないですか?自分勝手にやったら対応できない)
(大葉先生)他の言い方するなら... "楽しんじゃう力"? 矢口、ここを乗り越えないと、受験合格は無理かもよ。
→"楽しんじゃう力"は、脚本のコンクールに向けて執筆する上でも大事な力だなあ。
八虎の心の声。
(八虎)世の中は自信満々で楽しんでる奴の方が魅力的に見えるのも知ってる。だから俺も自信のあるふうに振舞ってきた。でも絵の怖いとこは、それが全部バレるとこ。楽しまなきゃ。
友人・恋ちゃんに誘われ、ラーメンを食べに行く八虎。「絵を描くのが怖い」と漏らす八虎だが、場の雰囲気を悪くしないため切り替えて明るく振舞おうとする八虎。そんなときの恋ちゃんのセリフ。
笑うなよ。その笑い方されると、"これ以上入ってくんな"って言われてるみてえで、虚しくなんだよ。
恋ちゃんのセリフ その②。
八虎の努力は自信のなさの裏返しか。
恋ちゃんのセリフ その③。
お前は知らねえかもしれねえが、愚痴でもなんでも、俺達はみんなお前の話を聞くのが好きなんだぜ。
1次試験の合格発表の前日に、大葉先生が美術予備校の生徒達にかけた言葉。
"結果がすべてじゃない"なんて言うつもりはないわ。でもこの数か月、君たちは自分の弱さと強さに向かい合った。そして描き続けた。それは必ず、君たちの財産になるわ。
→成果にはならなくても、財産にはなる。成果より大事かもしれない。
第9話
二次試験に向けた対策をする中で、「色」に興味を持つ八虎。
そんな八虎に対して大葉先生が放ったセリフ。
色ってほんと奥深い世界だからね。関係性、配分量、形、構図、光、素材、光、絵肌、その他もろもろで無限に変化する。ただ、前にも言ったけど、武器をいろいろ使いすぎると、うまくても曖昧な絵になる。色はやめたほうがいいって言ったのはそういう理由よ。
八虎の画材(絵具)選びに付き合っていたとき、龍二が呟いたセリフ。
それ、バーミリオン?私、この色好き。バーミリオンの天然の顔料は、"辰砂(しんしゃ)"っていうとってもきれいな朱色の鉱石なのよ。だけど美しい分、毒がある。昔は辰砂の取れる鉱脈に行くことは、死刑を宣言されるのと同義だったぐらいね。
一次試験で画用紙に大きな「✕」を書いて棄権した龍二。その事実を知って龍二に電話する八虎。そのとき龍二が八虎に放った言葉。
君は、溺れる人がいたら、救命道具は持ってきても海に飛び込むことはしない。裸で泣いてる人がいたら、服をかけて話を聞くことはあっても、自分も脱ぐことは絶対にない。教えてやるよ。冷静なんだ君は。正しいよ。正しいから優秀なのさ。君はいつだって優秀だ。でもさ、正しい場所からしか話せないなら、私がお前に話すことは何もないね。
とある大葉先生のセリフ。
自分らしくないものに触れてみないと自分の世界が広がらなかったりするのよ。
それに、自分のいいとこは、案外他人が見つけてくれたりするのよね。
→今の時代は、情報がパーソナライズされがち。選り好みすることがよしとされ、むしろ選り好みが後押しされるようになる中で、あえて自分が興味のない世界に飛び込むこともきっと大事なんだろうなあ。
第10話
ひょんなことから海が見える旅館に泊まることになった八虎と龍二。
窓から見える海を見ながら八虎が呟いたセリフ(心の声)。
電車に乗っている時はイマイチ実感なかったけど、マジで海に来たんだ。なんかこういうのすげえ久しぶりな感じ。ここ数か月、休むのもパフォーマンス上げるための行為で、自分の体が絵を描くための乗り物みたいな...
旅館で八虎と龍二が話しているときに出てきたセリフたち
(龍二)中学の頃、友達に"死にたい"ってボヤいたことがあってさ。そしたらね... "じゃあ裸になって死になよ"って。
(八虎)何それハズいじゃん。
(龍二)"恥ずかしいと思うなら、どう見られてもいいと思えないなら、まだ死んじゃダメだよ"ってね。だから私はまだ死ねないの。
(八虎)努力っつうと聞こえはいいけど、やってないと怖いだけなんだよ、マジで。センスも才能もないから、やってないことはできないし... 目標ないと何していいかもわかんない。理論武装しないと人と喋るのも怖い。周りの人間は過大評価してくれるけど、俺からしたら、コストかけなくてもある程度できる奴のほうがすごいよ。
(龍二)俺の好きだけが俺のことを守ってくれるんだと思ってるけど、自分が何が好きなのかさえ、ときどきわからなくなる。
(八虎)でも俺も、自分で勝手にキャラづくりしちゃう気持ち、わかるな。
何かを悟ったときの龍二のセリフ。
俺は逃げるべき場所と戦うべき場所をずっと間違えてたのか。
第12話
藝大の二次試験(3日間あるうちの2日目)の帰り、駅のホームで話す八虎と世田介。
世田介の絵を褒める八虎に対して、「自分が絵がうまいのは事実であって、自信があるわけではない」と言い切る世田介。そんな世田介に対して「そうやって言い切れるのは自信じゃないの?」と言い返す八虎。そのときに世田介が返したセリフ。
(世田介)違うな。矢口さんはごはん食べたりウンコしたりするのを褒められたらそれに自信持てるの?俺はムリなんだけど。
世田介の「矢口さんはごはん食べたりウンコしたりするのを褒められたらそれに自信持てるの?」に対する八虎の反応(心の声)。
(八虎)別次元すぎて傷つかねえわ、もはや。堂々とするだけで説得力出る。うじうじした作品って弱いんだよな。でも、自信持てないことを恥ずかしいって思うぐらいなら、それを受け入れて戦略を練るほうが俺に合ってる。
『ブルーピリオド』から学ぶ、クリエイターが大切にしたいマインド11箇条
上記で紹介したブルーピリオドのセリフをもとに、なにかしらの創作活動を続けるための励みとなるマインド11箇条をまとめてみました。この11箇条の中からみなさんのお気に入りを見つけて、日ごろの創作活動における呪文としていただければ嬉しいです!
クリエイターが大切にしたいマインド11箇条
- やった分だけうまくなる。天才と見分けがつかなくなるまでやればいい
- それに気づけるのは枚数こなした奴だけ
- 好きなことをする努力家は最強
- "楽しんじゃう力"。これがないと、入賞は無理
- "失敗"という概念は一度捨ててみる
- 他の作品を把握するのはいいこと、でも比較しすぎるのは危険
- 好きなことをやることは、いつでも楽しいわけじゃない
- 焼き回しはつまらない。過去の栄光の量産は禁止
- 自分の弱さと強さに向かい合って描き続ける。それは必ずあなたの財産になる
- 自分らしくないものに触れてみて。きっと自分の世界が広がらない
- 自分のいいとこは、案外他人が見つけてくれる
さいごに
脚本家の卵(になってるかすら不明)なわたしにとって、アニメ『ブルーピリオド』は、創作者としての喜びや苦しみを言語化してくれて、さらに背中を教えてくれる作品でした。孤独や葛藤、周りとのしがらみなど、色々な葛藤を抱えながら芸術と向き合い、それぞれの向き合いかたを見いだしていく素敵な作品です。
話が進むにつれて深みが増していく作品だと思うので、ぜひ最初の数話で終わらせず、最後まで観てほしいです(全部で12話だけなので、半日で観られます!)。
創作の士気を上げたい方にはぜひおすすめの作品です。
ではではっ!