北極星のみつけかた|yuzubaby

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北極星のみつけかた

ただのラブコメじゃない!映画『ラストクリスマス』の魅力とは?

映画『ラストクリスマス』。

世界的大ヒットを記録した映画『Crazy Rich Asians』の主演男優であるHenry Goldingが主演男優を務めているこの映画。

ひとことで言うと、予想以上に最高でした!

 

ロンドンが舞台の映画『ラストクリスマス』は、可もなく不可もないよくあるラブコメだと思っていたのですが、ロマンスだけでなく、ロンドンの移民差別や生死についても考えさせられる、本当の意味でのHeart-warming storyでした。

ということで、映画『ラストクリスマス』の見どころについてご紹介します。

 

この記事はネタバレ含むなので、まだ観てない人は、ぜひ観てから読んでください。

※今ならAmazon Primeで観れます!(Amazonの回し者ではございません)

 

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1. 主人公のケイトが自分の呼び名にこだわる理由は、移民差別にあり?

ケイトは、ロンドンに住む26歳の女の子。

ユーゴスラビアに住んでいたものの、紛争をきっかけにロンドンへ一家で避難してきた移民。

 

家族がケイトのことを「カタリーナ」と呼ぶたびに、ケイトは”I'm not Katarina, I'm Kate”と自分の呼び名を訂正します。

あまりにも自分の呼び名を正すシーンが頻出するので、「カタリーナという呼び名にこだわる理由(=伏線)があるのかな?」と胸がざわざわ。

 

すると、映画の終盤で伏線が回収されました。

それはスバリ、

「移民として差別を受けないため。ロンドンに溶け込むため」

 

ケイトが乗っているバスに、旧ユーゴスラビア(もしくはその周辺)出身の夫婦が居合わせ、クロアチア語で楽しそうに会話しているシーン。

すると、ガラの悪そうな若い男性が夫婦に近づき、「よそ者は国に帰れ。英語を話すかここから出てけ!」と暴言を吐いたのです。

そしてケイトを含む他の乗客に向かって、「お前らもだ!」と吐き捨てバスを降りる男性。

 

すると、ケイトはバスの座席から立ち上がって意気消沈する夫婦のそばに行き...

ケイト(クロアチア語)「歓迎するわ」

奥さん(クロアチア語)「同胞の人?」

ケイト(クロアチア語)「子供の頃家族と旧ユーゴから来たの」

奥さん(クロアチア語)「お名前は?」

ケイト(クロアチア語)「カタリーナ」

<パッと笑顔になる夫婦。カタリーナと握手を交わしながら...>

旦那さん(クロアチア語)「よろしく」

奥さん(クロアチア語)「ありがとう」

 

このシーンのおかげで、ケイトが自分のことをカタリーナと呼ばなかった&呼ばれたくなかった理由がわかりました。

 

移民に対して風当たりが強まっているロンドンで、自分が「よそ者」であることを悟られたくないために、旧ユーゴスラビアを連想させる「カタリーナ」ではなく、自分のことを「ケイト」と呼んでいたケイト。

 

しかし、ケイトが働いていたクリスマスショップにある日突然現れたトムのおかげで、自分勝手だったケイトは、他人にやさしくすることの大切さを学ぶ。

そして、移民である自分を隠さず、自分自身を誇りに思うようになる。

 

このシーンには、そんなケイトの心情の変化が描かれていました。

というのも、自分と同じく移民である夫婦が差別を受けているのを目の当たりにし、夫婦を気遣う言葉を贈るだけでなく、自分のことも「ケイト」ではなく「カタリーナ」と名乗ったケイト。

 

脚本の世界では、セリフは少なければ少ないほどいいと言われますが、「カタリーナ」というたったひとことを使ってケイトの成長を描いた脚本家のEmma ThompsonさんとBryony Kimmingsさんには、脱帽です...!

 

2. 理想の恋愛とは、依存しあう関係ではなく...?

 

公園でキスしあうケイトとトム。

しかし、ケイトが「私たちって恋人みたいね」と言うと、トムは「話さなくてはいけないことがあるんだ」と。

 

そして放ったひとことー

"You can't depend on me."(僕に頼るな)

 

Official髭男dismの曲に出てくる「寂しさ予防の恋愛があふれかえる街で~♪」という歌詞を思い出しました)

 

人間そんな強くもないので、寂しさを埋めるためにパートナーを求めることは決して悪いことでもないというか、そもそも付き合う理由は人それぞれ。

ただ、寂しさ予防の恋愛がよくない理由があるとしたら、それは寂しさと愛の順序が逆になったときかなあと思います。

 

たとえば、「寂しさを埋めるためなら誰でもいい」っていうのはあんまりイケてない。

でも、「この人と一緒にいたいから付き合う」っていうのは、イケてる気がする。

※理由はともあれ、付き合うことで寂しさは減りハッピーは増えるものだと思いますが、寂しさを埋めるためなのか、その人と一緒にいたいからなのか。この違いって、後々結構大事になってくるんじゃないかと...!

 

ちょっと脱線しましたが、本題に戻ると...

以前のケイトは、歌手を目指すもオーディションで落とされてばかりで、お酒と男性に寂しさを埋めてもらっていたような人間でした。

自分に自信が持てず、家族にも友達にも呆れられる...

そんなダメダメな自分に対して、人として向き合い、励ましてくれたトム。

 

確かにケイトは優しいトムに依存していた部分もありましたが、トムと出会ったことで、「ありのままの自分を受け入れることで、自分も周りの人も大切にすること」の大切さを実感するのです。

だからこそ、トムがそばにいないときでも、自らの意思でホームレスの人を支えるために街頭コンサートを開いて募金を募ったり、今までぶしつけな態度を取ってきた家族や友達に贈り物をしたり...

 

寂しさを埋めるための手段として、お酒と異性に依存していたケイトは、トムとの出会いを機に、自ら誰かを支えたり喜ばせたりすることで、その人も自分もあたたかい気持ちになれることに気づいたのです。

 

「依存とはなんだろう」って最近よく考えていたのですが、この映画のおかげで、答えが少し垣間見えた気がしました。

 

依存とは、「その人がいないと何もできなくなること(=骨抜きになっちゃう状態)」かなあと...

逆に、「その人がいるおかげでなんでもできる、頑張れる気がすること(=骨太になれる状態)」

ここでポイントなのは、「その人がいる=物理的にそばにいる」だけじゃないということ。映画『ラストクリスマス』のように、トムはケイトのそばに物理的にいるわけではないものの、トムという存在が胸の中にあるだけで、頑張れる気がする。存在レベルで誰かを愛せたら、愛し合えたら、これ以上幸せなことはないですね!

 

映画『ラストクリスマス』から感じ取ったこと、それは...

理想の恋愛とは、依存しあうのでなく、互いの心に共存しあえる関係のこと。

相手の存在が常に心の中にあるだけで、あたたかい気持ちと気力が湧いてくること。

 

3. "Last Christmas, I gave you my heart."に隠されたもう1つの意味

 

映画を観た方ならすでにお気づきかもしれませんが、

"Last Christmas, I gave you my heart."

このワンフレーズに隠されたもう1つの意味に、鳥肌が立ちました。

 

映画の最後のシーン。

ケイトは家族と友人を招いて、ホームレス支援センターでクリスマスパーティーを開きます。

パーティーでケイトは、大勢を前にステージに立ち、かの有名なクリスマスソングである「Last Christmas」を歌うのですが...

 

"Last Christmas, I gave you my heart."

 

普通に聞き流してしまいそうなこの一節ですが、この一節には深い意味が込められていました。そう、ケイトの胸にあるのは、トムの心臓だからです。

 

思いっきりネタバレになるのですが、映画に出てくるトムは、実は1年前のクリスマスに交通事故で亡くなってしまった人。つまり、ケイトが出逢って一緒に時を過ごしてきたのは、トムの幽霊というか幻だったのです。

 

そしてちょうど同じ1年前のクリスマスに、ケイトは心臓移植を受けて命拾いしたー

 

そしてケイトに心臓を提供してくれたドナーこそ、トムだったのです。

 

Last Christmas」は本来であれば「僕は君にハートをあげたのに、君は僕のハートをいとも簡単にポイ捨てしたね」という内容の失恋ソングですが、トムは文字通り、心臓移植という形でケイトにハートをあげていたのです。

 

しかし、肝心のケイトといえば、自分の健康に気遣うどころか、自分も周りも大切にしようとせず、お酒と異性に溺れて現実逃避に明け暮れる毎日...

ある意味で、トムのハート(心臓)をポイ捨てするような態度を取っていたのです。

トムがなぜケイトの前に現れたのかについて、トムの口からセリフで語られることはないものの、自分がハートをあげた相手であるケイトの姿を見かねて、きっとトムはケイトの前に現れたんだと思います。

 

物理的な世界では結ばれずに終わってしまう2人ですが、精神的なつながりで結ばれた2人。だからこそ、切ないはずなのに、なぜか心があたたかくなるエンディングでした。

 

結論として、映画『ラストクリスマス』はラブコメが苦手な人にも、おすすめです!

素敵な映画に出逢えたことで、今日もいい夢が見れそうです...

 

ではでは、また夢の中でお会いしましょう!(え、違う?)