北極星のみつけかた|yuzubaby

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北極星のみつけかた

『確立思考の戦略論』から学ぶ、市場調査の本質とは?

USJの最強タッグである森岡毅さん(CMO)と今西聖貴(シニア・アナリスト)著の『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』ー

 

勝てるかどうかは『消費者プレファレンス(=消費者に選ばれること)』で決まる!

との考えを軸に、いかに確率思考を使って消費者プレファレンスを高めるかについて語っている本書。

 

誠に勝手ながら、市場調査の本質について書かれた「第5章 市場調査の本質と役割ープレファレンスを知る」の章を要約してみました!

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市場調査の本質とは?

会社の究極の目的は、競争の中で生き残っていくこと

生き残るためには、会社の血液である「お金」を常に通わせること

「お金」を常に通わせるためには、消費者に選ばれること

 ↓

会社の生存のカギは、「消費者プレファレンス(=消費者に選ばれること)」にあり!

 

消費者プレファレンスを知らないままビジネスをやろうとすることは、ヘッドライトを消したまま運転するのと同じぐらい危険。だからこそ、市場調査では、消費者プレファレンスをいかに捉えられるかが重要。

 

以下、p.139より抜粋 ↓

市場調査の本質は、プレファレンス(相対的好意度)とその仕組みを解明して、マーケティングの決定者に提供することで、成功確率の高い戦略を選択できるようにすること

 

ここで着目したいのが、プレファレンス=相対的好意度であるということ。

自社製品に対する好意度だけを調査すればいいのではなく、同じカテゴリーの他社製品に対する好意度を調査することが重要。なぜなら、消費者にとっては自社製品以外の選択肢がたくさんあるからこそ、数ある選択肢の中からそれでもなお自社製品を選んでくれるかどうかを知りたいから。そして自社製品を選んでもらうためには何にどのように注力すればいいのかを見極めたいから。

 

すごくシンプルにまとめると、市場調査とは、

  • 消費者に選んでもらえるか
  • どうやったら選んでもらえるか

を突き詰める営みなのかな、と思います!

 

どうやって市場調査するの?

 市場調査の種類

  1. 質的調査(仮説を生み出すためのもの)
  2. 量的調査(仮説を検証するためのもの)

 

質的調査

  • 消費者の観察
  • 訪問インタビュー
  • 1対の1インタビュー
  • フォーカスグループ・インタビュー

 

量的調査

  • カテゴリーの商品の使用実態の調査(Habit & Practice)
  • 製品のパフォーマンス・テスト
  • コンセプト・テスト
  • TVCMのテスト
  • パッケージ・テスト
  • 商品名のテスト
  • 消費者の使用率と商品評価の調査(Usage & Attitude Study)

中でもプレファレンスの基礎である製品パフォーマンスを測るのに欠かせない2つのテストについて、ご紹介!

 

1. Single Product Blind Test|
シングル・プロダクト・ブラインド・テスト

目的:製品の競争力を測り、シェア拡大に向けて注力すべき点を見極める

テスト対象:製品パフォーマンス

実施方法:

社名を伏せた上で自社製品と他社製品を消費者に試してもらい、総合評価をつけてもらうテストのこと。「製品を使ってみてどうでしたか?」と問いかけ、「非常によい」、「よい」、「普通」、「あまりよくない」、「全然よくない」の選択肢の中から5段階評価をしてもらう。100、75、50、25、0の点数をそれぞれの回答にかけて平均値を算出する。シェア1位の競合他社製品に対して、総合評価の平均値で勝つことを目指す。

事例:

洗剤の総合評価を重回帰分析で因数分解すると、下記の3大要素が挙げられる。

  1. よごれを落とす力
  2. 香り
  3. すすぎやすさ

だから、製品開発部として、上記の要素に注力することは合理的。

 

でも、要注意!

同業他社もみんな同じ要素に注力していたらどんぐりの背比べになってしまう。

だから、競合他社が気づいていない、隠れた消費者ニーズを捉えることが大切。

たとえば・・・

洗剤界において当時マーケット・シェア1位を確立していたライオンの「トップ」は、ひょんなことから花王の「アタック」に一1位の座を奪われることに。

アタックの成功要因は、まだ誰も競合が気づいていないとある消費者ニーズを捉えた点にある。それはなんと・・・

パッケージのサイズ!

 

洗剤の総合評価の3大要素に「サイズ」はランクインしていなかったものの、消費者は、当時4.1kgもあった大きなサイズの洗剤を家まで持ち帰ることに実は煩わしさを感じていた。

そこで花王がウリにしたのは、コンパクトサイズの洗剤「アタック」。

サイズを変えたことをきっかけに、アタックは60%ものシェアを獲得したそう。

 

<ワンポイントアドバイス

製品パフォーマンスについて考えるときに、製品の機能性質だけに目を向けるのではなく、消費者視点から、商品を買ってから手放すまでの一連の流れ(商品の購入⇒自宅への持ち帰り⇒使用⇒パッケージの廃棄⇒etc...)に着目していきたいですね!

 

2. Concept Use Test|
コンセプト・ユース・テスト

目的:製品コンセプトと消費者プレファレンスの合致度を測り、売れるか見極める

テスト対象:コンセプトにもとづく製品パフォーマンス

実施方法:

1つのコンセプトに対して500-1000人の対象者に、購入意向を聞く。選択肢は、「絶対に買うと思う」、「たぶん買うと思う」、「買うかもしれないし、買わないかもしれない」、「たぶん買わないと思う」、「絶対に買わないと思う」の5つ。絶対に買うか多分買うと答えた人に製品を送って、製品使用後に、下記の質問をする。

<製品使用後の質問> ※以下、『確率思考の戦略論』より抜粋させていただきました ↓

  • 購入理由
  • 買う理由・買わない理由
  • 期待に見合ったかどうか
  • 1年間の購入頻度
  • 購入サイズ
  • 1回の購入個数
  • 価値
  • 好きな度合
  • 他製品との違いの度合

このテストにおいて、消費者プレファレンスの強さは、購入意向と購入頻度に表れる。

 

結局どっちのテストがいいの?

一概にどっちのテストの方がいいとは言えませんが、それぞれのテストの役割とメリットを理解した上で、適したテストを行なえるようになりたいものです!

 

シングル・プロダクト・ブラインド・テストのメリット:

製品開発の初期段階での製品のスクリーニングに向いていて、テストを実施することで、製品にまつわる問題点や便益に予め気づくことができる。

 

コンセプト・ユース・テストのメリット:

消費者のプレファレンス(商品を購入するときに自社製品を選んでもらえるかどうか)を調査したいときに向いていて、実際に購入するときに何を決め手としているのかを調査できる。

 

さいごに・・・

<個人メモ>

勝てるかどうかは『消費者プレファレンス』で決まる!

圧倒的な消費者プレファレンスを獲得する秘訣は、『Blind Spot』を見つけること。

そのために必要なことは、『Think Different』力。

 

▽本記事のベースとなった書籍はこちらです!

 数学に裏づけられたマーケティング方法について知りたい方にオススメです!