人生で凹んだときに元気をくれる映画、『3 idiots(邦題:きっと、うまくいく)』。
ボリウッド映画の代表作ともいえる今作、まだ観てない人は、ぜひチェックしてみてください!
この記事では、映画のあらすじに加え、映画に出てくる小道具に着目し、脚本を学んでいる人に向けて、グッとくる小道具の使い方について書いてみました。
あらすじ
エンジニアになることがすべてではない。好きなことをすればいい。
名門校に通うエンジニア学生3人が、色々なジレンマ(学長からの圧力、友達の自殺、両親との対立、家計を支える責任感などなど)を抱えつつも、周りから強いられたエンジニアというレールを進むのではなく、自ら道を切り拓けばいいと教えてくれる映画。
エンジニアになることを否定しているのではなく、あくまでもエンジニアは1つの選択肢にすぎないとした上で、主人公のランチョーが持ち前の技術力を駆使して周りを助ける姿を描くことで、エンジニアに対する敬意も描いているところが素敵な作品です。
苦境に遭遇したときは、ランチョーのように、胸に手をあて「All is well... all is well...」と言い聞かせたいものです!(何のことを言っているかは、観たらわかるはず!)
脚本に活かせるポイント:
効果的な小道具は、セリフを代弁する。
脚本では、よく「セリフは少ないほどいい」と言われます。
そこで、「じゃあ、セリフを言わずにどうやってキャラクターの心情を描けばいいの?」という疑問が浮かびます。
方法は色々ありますが、その1つが小道具。
そう。ズバリ、効果的な小道具は、セリフを代弁してくれるんです。
小道具がセリフを代弁するためには、まず冒頭シーンで小道具を登場させて、小道具の意味を視聴者に伝える。そしてラストシーンで小道具にセリフを代弁させる。だから、効果的な小道具は、「小道具を○○したらXXを意味する」が明確なんですよね。
映画『3 idiots(邦題:きっと、うまくいく)』の場合、効果的な小道具は、宇宙でも使えるペン。なぜ効果的かというと、「小道具(=宇宙でも使えるペン)を○○したら(=渡したら)、XX(=その学生は自分よりも優秀だと認めたこと)を意味する」ということが明確に描かれているから。
というのも、冒頭シーンで学長は、学生に向かって演説を行ないます。演説の中で、宇宙でも使えるペンを学生に見せ、「このペンはどんな角度でもどんな気温の中でも使える優れたペンで、学生時代に前任の学長からプレゼントされたものだ」と自慢。そして学長は、前任の学長にならって、自分よりも優秀だと認めた者にこのペンをプレゼントすると宣言します。
競争社会の中で、「他人を蹴落としてでも勝ち抜いて成功者になれ」と教える名門エンジニア校の学長に対して、主人公のランチョーは「それは間違っている。優秀だったら成功はついてくる。人生、好きなことをすればいい」と立ち向かいます。
2人は敵同士の関係にありましたが、学長の娘の危機をランチョーが持ち前の発想と技術力で助けたことから、学長はランチョーのことを認め、泣きながらランチョーにこのペンを渡すのです。
このシーンで学長は多くを語らないものの、小道具のペンを渡すということが何を意味するかを事前に知っている視聴者としては、学長がランチョーにペンを渡す行為を見るだけで、学長が密かにランチョーを自分よりも優秀だと認めて感謝していることがわかります。
▽『宇宙でも使えるペン』を学長がランチョーに渡すシーン
セリフで語るのではなく、小道具で語る。
ぜひ実践していきたいですね!