韓国のみならず、アジアで大ヒット中の韓国ドラマ『愛の不時着』。
北朝鮮のエリート将校と韓国の女性実業家の禁断の恋模様を描く、現代版ロミオとジュリエット。
単なるラブストーリーの枠を超えて、笑いあり涙ありのヒューマンドラマ。
切なくもあたたかい世界観と個性豊かで憎めないキャラクターたちにすっかり魅了され、観終わった今はロスに陥っています...
ということで!
『愛の不時着』に出てくる胸キュンシーンをまとめてみました。
脚本を学んでいる身として、「この表現面白い!」と思ったポイントも添えてあります。ぜひぜひ、束の間でもこのやるせないロスの感情を慰められたら幸いです!
Episode 5
ジョンヒョクがセリをさりげなくエスコートするシーンに胸キュン
セリが北朝鮮から出られるよう、国選のスポーツチームの一員になりすまして飛行機に乗ることを計画するセリとジョンヒョク。セリのために偽装のパスポートを発行するため、2人は平壌に向かうのですが、平壌行きの列車が草原で止まってしまいます。暖房のない列車の中で一夜を過ごすのは寒いため、列車の外で焚火をたいて一夜を過ごすことにする2人。列車から降りて草原へと向かうとき、ジョンヒョクがセリに手を差し伸べるシーンがあるのですが、ここで注目したいのが『ジョンヒョクの手の差し伸べ方』。そう、手ではなく腕を差し出しているんです!
このような場面で、カップルでもない女性に対して手の平をぱっと差し出せる人は、確かに素敵ですが、女性慣れしてそう... って印象を与えかねません。でも、無言でさりげなく腕を差しだすことで、ジョンヒョクの「恋愛経験はないけれどシャイで優しい男性」というキャラクターの魅力が伝わってきます。
▽脚本に活かせるポイント
このシーンから学べることは、『仕草を通じたキャラクターの描き方』。キャラクターの個性はついついセリフや表情で表現しがちですが、仕草でも表すことができると教えてくれるシーンです。
Episode 6
ジョンヒョクがセリの写真を思い出として密かにとっておこうとするシーンに胸キュン
偽装のパスポート用の写真を撮りにスタジオへやってくるセリとジョンヒョク。セリが北朝鮮を去ったらジョンヒョクとはもう一生会えない... そんな切ない想いから、「思い出に写真を撮らない?」と申し出るセリですが、「思い出は必要ない」と断るジョンヒョク。がっかりするセリですが、セリが見ていない隙に、ジョンヒョクは写真スタジオのスタッフに「写真を追加で1枚ほしい」と頼みます。そうです、セリの写真を思い出として自分用に残しておくためです!なんて健気なんでしょう...
▽脚本に活かせるポイント
このシーンから学べることは、『セリフに嘘をつかせる術』。脚本の先生からよく「セリフは嘘つきであればあるほどいい(=グッとくる)」と言われるのですが、その意味をくっきりと教えてくれるシーンです。素直なキャラクターであれば、セリフも素直なことが多いかもしれませんが、セリフに噓をつかせる(口では強がってるけど実は繊細、口は悪いけど仕草をみれば優しい人だとわかる、などなど)ことで、キャラクターの深みが増しますよね。
人間は、悪いことを隠したいときだけじゃなくて、恥ずかしいとき、強がってるときにも嘘をつく生き物なんですよね。ジョンヒョクは誰もが憧れるようなルックスと才能を兼ね備えたキャラクターですが、誰もが共感できるような「不器用な部分」もしっかり持ち合わせていることで、どこか親近感が湧く愛されキャラとなったのではないでしょうか。
Episode 7
限られた場所にしか繋がっていない特別な電線を辿って、ジョンヒョクがセリを探すシーン
さりげなさすぎてあまり印象に残っていないシーンかもしれませんが、ジョンヒョクにこれ以上迷惑をかけたくないと、セリが病院で静養するジョンヒョクを置いてどこかへ消え去ってしまうシーンがあります。防犯カメラの画像をもとに、セリがいる場所に見当をつけるジョンヒョク。何かあっても停電しないよう、限られた重要な場所にしか繋がっていない特別な電線があるのですが、セリは恐らくその電線を辿った先にある山奥の別荘にいると突き止めたジョンヒョク。まだ体調が万全ではないにもかかわらず、セリを守るために、ジョンヒョクが電線を辿って走るシーンに胸を打たれます。
▽脚本に活かせるポイント
このシーンは、「こういう描き方もあるのか!」と脱帽してしまうシーンです。セリを探すためにジョンヒョクが必死に走る姿だけでも胸を打たれますが、電線に事情をもたせる(=電線を辿った先にセリがいる)ことで、空を見上げて電線を辿りながら走る姿に、「セリを想いながら走っているんだ」ということがより鮮明に伝わり、一層グッとくるシーンになっています。
Episode 9
セリと離れたくなくてわざとジョンヒョクが道に迷うシーンに胸キュン
▽脚本に活かせるポイント
このシーンから学べることは、『効果的な三角法の使い方』。ジョンヒョクが率いる将兵4人が「ジョンヒョク中隊長は方向感覚抜群で道に迷うことなんてないのに、なんでこんな遅いんだろう...」と不安げに話し合い、「考えられる理由は2つ。誰かに襲われたか、セリと離れたくなくてわざと道に迷っているかだ」「なるほど~...」というシーンを挟むことで、「ジョンヒョクがセリと別れたくなくてわざと道に迷っているんだ」ということを視聴者にわからせてくれます。もし将兵のこの会話がなければ、本当にジョンヒョクが方向音痴で道に迷ったのかと勘違いし、「本当はただセリと離れたくないだけ」というジョンヒョクの気持ちを汲み取れないかもしれません。でも、将兵たちが「ジョンヒョク中隊長が道に迷うはずがない」と教えてくれることで、「ああ、セリと離れたくないだけなんだな」という健気な気持ちをより強く感じとることができます。
先ほど「セリフは嘘つきであればあるほどグッとくる」というお話をしましたが、まさにここでも「セリフは嘘つき」が活きています。「お前とは離れたくない」ではなく「方向音痴で道に迷った」と嘘をつくジョンヒョクの健気な姿に、キュンとしますね!
さてさて、ここから先は解説なしで、写真のみでお楽しみください!
ジョンヒョクが北朝鮮と韓国を隔てる境界線を越え、『1歩だけなら大丈夫』とセリを抱きしめるシーンに胸キュン
本のタイトルを横に読むと...?ジョンヒョクが発見したセリからの『I love you』に胸キュン
Episode 13
チキン屋で日本 vs 韓国のサッカー試合を観戦。北朝鮮の将兵たちが韓国人と一緒になって応援するシーンに胸キュン
ジョンヒョクの将兵たちがセリを守るために車から颯爽と出てくるシーンに胸キュン
Episode 15
北朝鮮の孤児に助けてもらったスンジュン。親のいない自分と孤児を重ね合わせて泣くシーンに胸が苦しい...
韓国の警察に捕まったジョンヒョク。取り調べとして防犯カメラに映る姿がいい人すぎるシーンに胸キュン
北朝鮮を明日出国しなければならないスンジュンがダンに指輪を贈って愛を告白するシーンに胸キュン
Episode 16
Seri's Choiceの新作コスメが北朝鮮の村の女性たちをモチーフにしていると発覚するシーンに胸キュン
セリが寂しくないよう、予めジョンヒョクが送信予約しておいたメッセージが届くシーンに胸キュン
他にも胸キュンシーンは山ほどありますが、脚本を学ぶ身としても「こんな表現方法思いつくなんてすごい!」と思ったシーンをまとめています。
『愛の不時着』についてはまだまだ書きたいことがたくさんあるので、今後の記事もよければお楽しみにっ!