北極星のみつけかた|yuzubaby

自称宇宙人のゆとり世代が書く雑記ブログです。

北極星のみつけかた

人生のトラウマを誰かの処方箋にする魔法|脚本を学ぶということ

みなさんにはトラウマがありますか?

過去の辛い経験とどのように向き合っていますか?

辛い思い出はなかったことにしたい人、忘れたくても忘れられない人、一晩寝たら忘れてしまう人... 向き合い方は人それぞれだと思いますが、本当に辛かった思い出はなかなか忘れられないものだと思います。そしてそんな忘れられない辛い思い出のことを人はトラウマと呼ぶのだと思います。

 

自身も今まで両親の離婚、大学卒業直後に起きたかけがえのない友人の突然の訃報... ブログに書くには重すぎる経験をしてきました。特に友人を亡くしてからは夜に飛び起きることも多くなったし、毎日必ず1回は生死の概念が頭をよぎるようになりました。

 

今までトラウマは悪いもの、克服しなければいけないもの、と考えてきたし、トラウマなんかなくいっそ幸せ100%な子ども時代を過ごして脳内お花畑な大人になれればよかったのに、とふと思うこともあります。

 

そんなやっかいなトラウマですが、5月から脚本講座に通い始めたおかげで身をもって実感できたことがあります。それは、過去のトラウマを脚本に活かすということ。トラウマはあえて作るようなものじゃないし、今でも悲しいできごとなんて起こらなければよかったのに、と思います。ただ、すでにトラウマを抱えてしまった人にとって、脚本がいかにトラウマを癒してくれるのか、そしていかにトラウマを抱えた人が脚本家に向いているのかをお話しします。自分自身もまだまだ脚本を学び始めたばかりですが、脚本を通じて少しでもトラウマとうまく向き合える人が増えたら嬉しいです。

 

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脚本のすすめ① 行き場のない感情を主人公に託せる

トラウマを抱えている人の中には何らかの理由で周りに相談できない人もいるかと思いますが、脚本ではそんな行き場のない感情を主人公に託すことができます。だから何だと言われればそれまでなのですが、声にしろ文字にしろ、何らかの形で胸の内に渦巻くもやもやを発散することはストレス発散の意味で大切だと思うんです。脚本の世界では本名じゃなくてペンネームもありだし、世間の目を気にする必要もない(自身は大切な人の声は気にしますが世間の声はあまり気にしません。余談ですが&わたしの言葉ではありませんが、「気にしていたのはいつだって世間じゃなくて世界だ」とTwitterのプロフィールに書いているNGOの方の言葉が大好きです)。もし今悩みやトラウマを抱えているけれど誰にも相談できなくて困っている、という方がいたら、ぜひ文字にしてみてください。そして欲を言うなら脚本を2ページ分だけでいいので書いてみてください(脚本の書き方はGoogle先生か自身がお世話になっているシナリオ・センター(https://www.scenario.co.jp/)をぜひチェックしてみてください!)。

 

脚本のすすめ② 当事者しかわからない心情を繊細に描写できる

自分が経験したことのない他人の痛みを想像するのには限界があります。人間には感情移入という素晴らしい能力があるので(他の動物も感情移入するのかな?するとしたら失敬しました動物さんたち...)、他人の痛みの一部を感じた気持ちになることはできます。でも、それを描くとなるとやっぱり限界がある。一見は百聞は一見に如かずというように、想像で生まれたものより実体験から生まれたものには深みが生まれますよね。そこで脚本の出番です。

 

脚本では心情の描き方が小説とはまったく違って、いかに説明文を使わずに主人公のしぐさやリアクション、台詞を使って心情を描くかがカギと言われています。そして説明文を使わないとしたら、どんなときにどんなしぐさやリアクション、台詞を使えば描きたい心情をうまく映像に映せるのか、が重要です。そこで当事者としての原体験があると、主人公の言動1つ1つにとてつもない深みが生まれます。

 

たとえばこれは母子家庭で育った自身ならではの描写かと勝手に思っているのですが、父親がいない子どもの心情を描くときに、当事者である自分だったらこんな風に描きます(下記の書き方は脚本のスタイルです。※本来ならば縦向きに書きます。)。

 

---はじまり--------------------

人物

   鈴木美香(18)女子高生 

   鈴木幸子(45)美香の母

   小林里奈(18)美香の同級生

 

〇美香のマンション リビング(朝)

   鈴木美香(18)は卵かけごはんを片手にテーブルにつく。

   美香はテーブルの上にある離婚届を見つけるとテーブルの端に追いやる。

   鈴木幸子(45)は美香の様子を見てため息をつく。

幸子「美香。あの人とママが離婚してあなたも辛いだろうけど、

 友達には離婚のことは言っちゃダメよ。言ってもろくなことはないからね。」

   美香は黙ったまま卵かけごはんを無心にかき混ぜ続けた後、席を立った。

美香「今日は里奈と遊ぶ予定があるからもう行く。」

 

〇デパートの中

   美香と小林里奈(18)は雑貨コーナーにいる。

   里奈は父の日特集と書かれたバナーを見る。

里奈「わっ、そういえば父の日もうすぐじゃん!まだプレゼント買ってないや...」

   美香はポスターにちらっと見た後にすぐに目を逸らす。

美香「ああ、確かにね...」

里奈「美香はもうプレゼント買ったの?」

   美香は一瞬黙り込む。

美香「うーん、まだ買ってないよ。今年は買わなくてもいっかな。」

里奈「えー、お父さんかわいそうだよ!毎日頑張って働いてるんだし。」

   美香は苦笑いする。

美香「それよりなんか喉乾いたからカフェでも行こうよ。」

里奈「あ、賛成!」

   美香は里奈の腕に手を回してデパートの出口へと歩き出す。

   美香はちらっと後ろを振り返り、

   父の日特集と書かれたバナーを悲しげな目で見つめて再び前を向いた。

---おわり--------------------

 

まだまだ素人なので描写にツッコミどころがたくさんあるかもしれませんが、お許しを...。このなんちゃって脚本から伝わっているといいのですが、世間では父の日=日頃から家族のために頑張って働いているお父さんが家族から感謝され1年で唯一(?)主役になれるおめでたい日、といったポジティブな行事です。でも、お父さんがいない子にとっては父の日は切ない日でしかない。でもこれって、お父さんがいる人にとってはなかなか気づきにくい視点な気がします。

 

こんな風に、当事者だからこそ描ける極めて繊細な描写ってあると思うんです。脚本講座の先生も「主人公の職業は、自分(=筆者本人)と同じ職業にするとよい」とお話ししていました。自分が1番よく知っている職業について書く方が実体験に基づいたリアルな描写ができるから、とのことです。

 

脚本のすすめ③ 同じトラウマを抱える人に響くメッセージを伝えられる

生きている限りみんな何かしらの当事者です。

そしてもし辛い境遇の当事者になったことがあるとしたら、皮肉かもしれないけど、その苦い経験は脚本に活かすチャンスです。脚本家になって一攫千金を狙えと言いたいのではなく、どうせ苦しみを味わったのなら、その味を甘味で消そうとするのでもなく、水で流そうとするのでもなく、同じ苦しみを味わっている人の処方箋に変えることができる。無理にやれと言っているわけではありませんが、もし自分が苦境を味わい乗り越えた経験が誰かの希望なり勇気なりに変わるのなら、それって素敵なことだなあと思うのです。

 

最後に...

わたしが好きなセリフで締めくくりたいと思うのですが、みなさんは映画「海猿」を観たことがありますか?というのも、映画「海猿」のエンドロールで流れたEXILEの「もっと強く」という歌の中に、心がきゅっとなる一説があります。

 

▼そのセリフとは、果たしてどれでしょう?


EXILE / もっと強く (full ver. / オフィシャル動画)

 

...

...

...

 

正解は、こちらです!(まあ正解なんてなくすべて正解ですが!笑)

 

▼「もっと強く」の歌詞より一部抜粋

疑うこともできなくて 傷ついてばかりいたね

その胸の痛みがいつか 誰かの勇気になるのかな

知りたくもない現実や 見たくないことばかりで

それでもきっと僕らは 進んで行かなきゃいけなくて...

 

いやあ、心にきますねえ。しびれますねえ。ふう...

(急にオヤジっちモードになってしまいました。笑)

 

まあとにもかくにもですね...

脚本講座を受けていると、こんな気分です。↓

あの胸の痛みがこれから 誰かの勇気になりそうだ!

 

ちょっとうさん臭くてごめんなさい。

まとめると、

・トラウマと向き合うにあたってはよかったら脚本を試してみてね!

・ついでにEXILEの「もっと強く」も聴いてみてね!

・時間があれば映画「海猿」の最終章も観てね(その後もっと強くを聴くと号泣)

 

こんな感じです。

ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました!

ブログを始めた当初は「伝わる人に伝わればいい」ぐらいの心意気で書いていたのですが、脚本では「いかに万人に伝わるか」を意識する必要があるので、これからはブログでも伝えたいことを少しでも多くの人に伝わるようにしていきたいなと思っています。

ということで、よろしければぜひyuzubabyの読者になってください!(宣伝)

今日もありがとうございました!